今まで観た映画の感想をつらつらとかきます。(映画以外もたまに・・・。)

This Archive : 2010年02月

スポンサーサイト

--.--.-- *--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

変えるということ

2010.02.24 *Wed
とある都会のビルの隙間に誰の目にも止まらないような侘びしいあばら屋があった。
あばら屋からは時折甘ったるい香の香りが漂ってきて、客を招く。
今日もあばら屋に客が一人やってきた。
客はギシギシ鳴る扉を開けて中へ入っていった。あばら屋の中は天井から薄く透ける赤い布が幾重にもかけられ、隙間から吹き込む風に揺れている。
入り口の脇には朱鷺の剥製が一つ。
客は奥の方へ入っていった。奥へ進めば進むほど香の香りは濃くなって頭痛を覚えるほどになった。
「おや、これは珍しいお客様だ。」
長い髪をゆったりと結い、薄物で縫い取りの美しい着物をまとったあばら屋の主はにこやかに年老いた客を迎えた。
「互いに息災で何よりじゃな、朱鷺殿。」
老人は勧められた席へ腰を下ろすとにこにこと主を見つめた。
「ご無沙汰しております、寒翁様。お元気そうで何より。」
「先日はうちの姫君が世話になったようで、いつもすまんことじゃな。」
「恐れ入ります。大姫君はお元気ですか?」
「あの方は何時でも元気でいていただかなければ。」
老人は少し真剣な表情で茶碗に注がれた茶の色を眺めていた。
「何かあったのですか?」
朱鷺は老人の顔をのぞき込んだ。
「なに、若い連中のこと何じゃが…」
老人は言い掛けて茶碗を口に運んだ。
「近頃、死にたがる者が多くてな。戦で無茶をしてくたばろうとするんじゃ。」
「若いとはどのくらいのかたですか?」
「だいたい明治、大正生まれか、昭和の戦後生まれくらいかの。」
「齢100か、それに満たない方々ですか。」
「世の中を見ていてもわかる。こんな社会で育った者が強く生きていけるはずがない。」
老人は茶碗を卓上に戻してため息をついた。
「確かにハングリー精神が欠けていますものね。」
朱鷺は空になった老人の茶碗を新しく入れ直したものに取り替えた。
「大姫様がお心を痛めていらっしゃるのではないですか?」
「いや、大姫君は戦場において死にたい者は死なせておけとおっしゃっている。生きる意欲のない者がいるだけ生きたい者の迷惑だと。」
「おっしゃるとおりでしょうね。」
「変革を求めて命を懸けて戦った者たちの時代は終わった、今生きている者はただ生かされているだけだと。」
老人は小さくため息をついて笑顔を作った。
「辛気くさい話ばかりで申し訳ないな。」
「とんでもない。今は特に緊張されていらっしゃるときでしょう?お悩みになるのは当然のことでございます。」
朱鷺が心配そうに言うのをみて老人はにこにこと微笑みうなずいた。
「大姫君はは口癖のようにおっしゃるわ。『自分の死を大きくとらえるな。死を以て世の中を変えようという者は己の無知を恥じよ。死は世の中に悲しみと、時に衝撃を与えるだけにすぎない。本物の変革を望むのなら、血反吐を吐いても生き続けろ。』とな。」
「大姫君らしいお言葉ですね。」
朱鷺はくすりと笑って立ち上がろうとする老人を介助した。

「変革に必要なのは99%の準備と1%の衝撃である。」
朱鷺は静かに一人だぢたた。
スポンサーサイト
CATEGORY : よしなし事

糸通し

2010.02.13 *Sat
糸通しが落ちていた。
各停電車の床の上。
銀色のつまみのついた繊細な道具は雨で汚れた床の上で光っていた。
列車は終点に着き、残り少ない乗客を降ろした。
灯りが消え車内は夜の暗闇の中。
車庫への帰路についた。
そんな車内にまだ残っていた乗客がいた。
小さなその乗客は外からはいるわずかな光を反射して光る糸通しを見つけた。
彼は指でつついたり動かしてみたり光に驚いたりしながらそれを確かめた。
「何だろう。きれいだな。」
彼は糸通しを知らなかった。
そして不思議に光るそれを引きずって、いつもの出口から出て行った。
降車すると真っ暗な車庫の中。
彼はすぐ近くにある自宅へ足早に向かった。
持ち帰った物はすぐに家族の中で話題になった。
彼の妻はまた彼が妙な物を拾ってきたので難しい顔をしてさっさと食事の支度をした。糸通しはたくさんいる子供たちのおもちゃになった。
子供たちが激しく取り合うので、糸通しの針金がとれたりつまみが曲がったりした。子供たちはすぐにあきてしまって今度は食事に夢中になった。
彼はもみくちゃになったそれを取り上げて自分の部屋へ持って行った。
彼の部屋にはいい匂いのする銀紙やらアルミ缶のタブやらがらくたばかりがたくさんあって、妻の悩みの種になっていた。
READ MORE
CATEGORY : よしなし事

2010.02.04 *Thu
よしなし事と銘打って日々野乃の頭をよぎるちょっとしたお話を乗せて見よいと思いたちました。あんまり期待できたものではないので気が向いたら読んでみてくださいね。



バスが信号で止まった。座っていても目線が高く隣に止まっているワゴンの中がよく見える。
「おい、見ろよ。車がいっぱいだぜ。車、車、車だらけ。」
「どれどれ、よっこいしょ。」
「な?車だらけだろ?」
「ああ、そうだね。」
「何だよ、わくわくしないのかよ。赤いの、青いの、緑の…、う~、早く走らないかなぁ。」
「おまえは、うるさいよ。」
同じ犬でも違うもの。一匹はそわそわしているがもう一匹は時折何かに目を引かれている程度。
さて、何を見ているのやら。
信号は青に変わった。
2匹を乗せて車はバスとは違う方向へ進んで、動物病院へはいっていった。
CATEGORY : よしなし事

プロフィール

野乃狐晴

Author:野乃狐晴
・関西に生息。
・26歳になっちゃいました。
・これでも社会人3年目。
・仕事はショップ店員。・グチ多し。
・最近ナチュラル系の小物づくりに夢中。
・秋頃ネットショッブオープン予定。

つれづれと今までに観た映画の感想かいてます。
アクション映画ばっかり観てます。
映画館で観るならやっぱりアクションでしょ!!



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



カテゴリー



月別アーカイブ



ブログ内検索



RSSフィード



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



リンク

このブログをリンクに追加する



02
1
2
3
5
6
7
8
9
10
11
12
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
25
26
27
28
Copyright © 狐晴シネマ All Rights Reserved.
テンプレート配布者: サリイ  ・・・  素材: ふわふわ。り  ・・・ 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。